愛犬と海と日常

貧乏性を抜け出して優雅に時間を使えないものか

母がコロナになった

ショートステイの朝、迎えに来た職員さんがいつも通り抗原検査をしたのだが、10分ほどしたら神妙な顔で、検査キットを示し「出てます」という。

 

見ると、くっきり二本線が。

え、全く思い当たる節がない。庭にすら出ない母がどこからもらって来たのか・・・

「ちょっと待って」私は眼鏡をかけて二度見する。
しかし検査キットにはC、Tともに、はっきりと赤い線が浮き出ている。

 

ともかくその日からのショートステイの予定はパーになった。
自分たちの予定を入れていなくて良かったぁ、ととっさに思う。

コロナが5類感染症に移行してから1年がたつが、一向に感染は減らず恐怖心が増すばかりの最中だ。

 

さて、型どおり5日間の隔離を要するが、認知症の母に理解と辛抱ができるのかが問題だった。昨日定期受診のため車で移動し、病院内でも時間がかかった時点で私は濃厚接触者になる。すでにうつっている可能性は大きい。

 

病院では熱もなかったのに、今朝は37℃の微熱。

どうにも納得がいかないまま医師に指示を仰いだところ「コロナの特効薬があるが在庫がない。今月は院内処方をしたために院外処方せんが書けないので、どうしても必要なら紹介状を書く」と、腑に落ちない説明がかえってきた。

 

医師会の決まりごとは全く現状に添っていないと思うことがしばしば。患者の身になると不都合なことが多いような気がしてならない。

もっとも、その薬については知人から聞いていて、1割負担で1万円取られた、と言っていた薬だろうから、2割負担の人なら2万円、3割なら3万円、あたりまえか・・・

病院に行くのをためらう人が居るというのもわかる気がする。

 

主治医の「状態を聞く限りでは自宅療養で様子を見てはどうですか」との判断に従うことにする。

用心のために、解熱のためのカロナールと喉が痛んだ時のための桔梗湯をもらっておくことにした。

身づくろいをして「さぁ、出かける」その時になってこの結果だったので、母の機嫌はすこぶる悪い。とりあえずブスッーとした母を寝巻に着替えさせる。

バタバタと家じゅうを消毒し、母を寝室に隔離したところでよくよく考えてみるが、どうにもコロナ罹患に納得がいかないまま。

冷静に見ても、ふだんから熱に弱い母に全く変調がないのも不思議に思う。

 

(もしや1)思い出せば昨日、病院の待合室におそらくコロナであろう老夫婦が居た。途中自家用車に移動し待機させられ、看護師がゴーグルとマスクで対応していたためそれと分かったのだった。最近の病院はどこでも見る風景なのだが。

もしやその時、と頭をよぎった。
いやいやそこで罹患したとしても翌朝の陽性反応は早すぎないか。

 

(もしや2)おもえば目を離すとすぐエアコンの温度を下げて氷の部屋のようにしてしまう母は、ここ数日鼻水を出していたなぁ、もしや風邪で反応が出たのかな?!

いやそれもありえない。あくまで専用の簡易検査だから、コロナにしか反応しないはず。

 

(もしや3)二日前、デイサービスだったのでそこでもらった? 早速、お知らせ方々デイに電話をかけて「あのー、もしかしてそちらでコロナは出てませんか」と聞いてみたところ、実に丁寧というか遠回しというか、煮え切らないやりとりの結果「出ていない」との返事。
こちらの事業所は送迎時の検査がないため疑えばキリがない。

 

(もしや4)送迎時に次々多くの利用者に対応する担当さんの指にウィルスが付いていたとしたら、毎回の消毒の間もなくキットの扱いが雑で、例えば密閉袋から取り出す際に、試薬液を投下する場所を指でつかんでいたとしたら・・・間違いなく陽性反応が出る。

 

(もしや5)私か夫のどちらかが外から持ち込んでしまったか・・・

などなど、頭の中の想像がだんだん妄想めいてきたのでやめた。

 

抗原検査簡易キットを薬局に買いに行った際「一番正確なのを下さい」と言うと「陽性でもマイナスが出ることもありますし、その逆もあります」とあたりまえに説明され首をひねってしまった。

 

3日たった今、母は擬陽性つまり誤判定だったとほぼ思っている。
なぜなら症状のかけらが皆無だからだ。
いくら無症状の人が居るとはいえ、95歳が全く通常通りなわけもなく、当然うつっていてしかるべきの私たちもまた、なんの症状も見られないからだ。

調べてみると抗原検査の判定は難度が高く、50%の感度とも言われているようだ。

PCR検査 | スマート検査ラボ  (参考)

 

さすがに完全隔離は双方ともストレスが大きく、4日目にして寝室からテレビのある母の個室に移したところ、どうやら無罪放免と思い込んだようで何かにつけ部屋から出ようとする。

まして3日間独房生活だった間に、母からはすっかり生活感覚が去り、手元の鈴を振ればお手伝いさんが飛んでくる、とばかりにしばし鈴が鳴り響いた。
さらに嚥下機能が低下し、かろうじて普通食だったのが難しくなり、一層手をかけなくてはならなくなった。

 

それに加速した難聴。
腹立ち紛れも手伝い、母と話すときは腹の底から大声を出さなければならない。
声が枯れるがこれはコロナのせいではない。

 

あぁ、お隣りさんに筒抜けだなぁと意識下にありながら、いきおい止まるものじゃない!

そのうち、虐待通報で地域包括が飛んできそうだな、と頭をよぎる。

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