愛犬と海と日常

貧乏性を抜け出して優雅に時間を使えないものか

ビニールプールを片づける時

台風が去り、二百十日が過ぎ、いつの間にか秋の気配。
やっぱり日中は暑くて35度とか言ってるけど、盛りの時とは気温は同じでもなんとなく違うと思うのは意識の問題かしらね。

 

ことしはいつになく暑かったので、今までは考えもしなかったペット用の噴水プールを買ってしまった。

半信半疑でネット購入したところ、庭の水やり用のホースの取り付け口に見事にぴったり合ってうれしくなった。ていうか、だいたい合うようになっているらしいが。

 

フラットのシートの周囲が円になっていてそこに水を蓄えると、水圧で水が吹き上がり噴水になるという分かりやすい作りだ。

つまりは、水深のあるものに水をためて泳げるわけではなく、水浴びに適しているようだ。さて、10分もすれば周囲の円がパンパンになってくる。

 

そのあたりまでくると犬はそっちのけで、自分がワクワクしてしまった。

水が満たされるまで全く見えなかった小さな穴から、初めはこぼれる程度に噴出した水が、みるみる30センチ、1メートルと高く噴き出してくる。

 

すごい!!イヤーこれは、なかなか

水道の栓は思い切りひねっていたわけではないのに、みずからこれだけ水圧を溜めて吹き上がる。試しに水道の栓を少し締めてみたが、ほとんど影響なく噴水は吹き上がってくれる。これなら、水道代の心配は要らないようだ。むしろ、庭に水を遣る方が多く水を使うかもしれないと思った。

 

肝心の本人(犬)はというと、固まっている。

周囲の浮き袋状態でパンパンになった高さまでは吹き出す水が溜まるので、犬にとっては十分な水遊び状態なのだが・・・

 

真ん中にいつものボールを落としてみたら、噴水の隙間から鼻先を突っ込んではみるものの、その水をかいくぐって中に入る勇気は無いようだ。

えいっ、とフウタを抱えて真ん中に入れてみたがびくとも動かず、初日は10分くらいで水遊び終了。

その間に結局、私も噴水を背中から頭からかぶりびっしょりになる。

すっかり童心に帰ったのは私の方だった。

実際には子どもの頃、ビニールプール遊びなどしたことは一度もなかったが、ほんとはしたかったのだろうかと思った。

 

それからはほぼ毎日、真夏の最高に陽が高い時間をめがけてフウタをダシに水遊び。

さすがにご近所の手前、水着こそ着なかったが、ぬれても良いTシャツと短パンでフウタと一緒に噴水の真ん中に入り込み、思い切り水をかぶる爽快感。

 

水しぶきごしに見上げた空の陽ざしが刺さって目がシバシバしてしまう時、むかーしむかし、ビキニを着た私が毎年友人と行った海に浮かんで見ていた、真夏の空の太陽を思い出していた。

 

ささやかな解放感を味わっていると、8月の間にビックリするくらい真っ黒に日焼けしてしまっていた。
でもいい。誰に見せるものでもない(あ、夫は数に入っていないのです)

 

それからなんとなく、気がつかぬ間に空気が変わっていて・・・
ある日、背中にかかる水が「冷たい」と感じた一瞬。
気温はまだまだ高いのにである。
間違いなく秋を感じた瞬間だった。

 

「はい。フウタ、ことしのプールは今日で終わりだよ」

「楽しかったね」ナツが生きていた頃からしてあげればよかったなぁ・・・

まだ、先住犬をお墓に入れる気になれないまま初盆が終わった。

ビニールプールの水抜きが結構大変で、3日程水きりのために干したあとしまい込んだ。

また、来年遊ぼうね。