愛犬と海と日常

貧乏性を抜け出して優雅に時間を使えないものか

消えゆく花火大会

目の前の海で3年ぶりに花火大会が行われると言う

なんというラッキー! 部屋を借りてから最初の大きなイベントに興奮。

会場から打ち上げる尺玉は見事なものだという

コロナで延びのびになっていたそうでようやくの再開になったが、夜店もアナウンスもなしの条件付き。静かに鑑賞しなければならない

商店街の組合が主催して地元の情報をサイト発信してくれていたので、いきなり仲間入りさせてもらって、地元民の顔をして暮らす自分にとっては大変ありがたい情報だった。

毎日、食事以外はパソコンに向かってライターの真似事に明け暮れていたので、花火には子供にかえったようでワクワクした

お祭り気分を味わいたくて、次第に疎遠になっていた友人を数人招いた

20時から開始、ずいぶん遅いなあと思ったが、確かに夏の盛りの天気は19時台ではまだ明るい。もうそろそろかと階下を見た友人がわっ!と声を上げた。もう、すごい人の列が動いており、慌てて部屋を出てその波に加わった。

「家から出たら海だぞー、ふふ」と、おそらく遠方からJRに乗って来ただろう人たちにひそかに優越感を感じながら、浴衣の女子も多く見られて、コロナで忘れていたウキウキ気分にひたっていた

広い波打ち際には、混雑でもなく少なくもない人出があり、ゆとりの間隔で大人や子供が自由に座っていた。飲食しながら大騒ぎするひとも誰も居らず、自分の場所で静かにビールを飲んでいるくらい。たまに子供が騒ぐのがほほえましいくらいの、ここに集まった一人ひとりが状況をわきまえた思いやりのあるやさしい空間が出来ていた

花火はアナウンスもなく、静かな中でドーンという音とともに始まり、一つずつ大事にだいじに上がるようだった。

 

ん? もう終わりかな?と思われる微妙な間が二度ほどあったのち、ほんとの最終の花火は大玉が幾重にも重なり、写真をとるのも忘れて見入ってしまった。そして、終わった。やはりアナウンスもなく静かに終わった。しばらくの間をおいて誰からともなく大きな拍手がおこった。

みんなその場から動かず、ながい拍手が続いた感動的な時間だった。

コロナの影響で商店街が低迷し、住民の寄付に頼らざるを得ない現状があり、到底尺玉の経費には至らず、今年で最後になる花火大会だった

海上から打ちあがる大玉の花火に魅せられて、毎年遠方から通う人も多かったなか、やっと再開した花火がこれで最後になることをみんな知っていたからだろうか

とても美しく、そして悲しい、心に残る花火大会となった

翌朝の海