愛犬と海と日常

貧乏性を抜け出して優雅に時間を使えないものか

ただいまムカデ君と同居中?!

ムカデとの遭遇

虫さんが苦手な人は要注意

朝まだき、すっかり目が覚めたのでぼんやりベッドに体を起こす。

ハンガーにかけたTシャツの黒の襟ぐりが一瞬動いて見えた。老眼が進行するばかりの昨今、またぼやけたか?

と思いながら、着替えようとハンガーごと手もとに取った瞬間、布団の上にポロンと
ムカデが落下した。

 

まさに、ひえーーーーっ!! である。

もう少し高齢なら命を落とすのではと思うほどの衝撃。心臓が全身から外にあふれるほどの勢いで拍動する。急激な心拍数と血圧の上昇で頭痛を覚え、おそらく目は血走っていたにちがいない。

 

「どこへ行った?」全力疾走をした後のように、荒い息になり震える指先で布団をはがしてみる。とそこにS字に丸くなったヤツがあーー、居た!

恐怖の頂点には通常の判断が狂うのかもしれない、微動だにもせず丸く固まっている姿に「え?あんたそれで隠れてるつもり?」と、ふっと一瞬笑ってしまった私。

 

いやいや、そんな場合じゃない。ムカデって百足ていうわりには、そんなに足の数はないんだ。いやだからそんなことはいいから、この場を早く何とかしなくては。

 

うちは郊外といえば聞こえが良いが、早く言えば田舎。

住宅地の周辺は山や池に囲まれている。

百足が出ても不思議はない場所だ。しかし初めてのことで頭はすでにパニック状態。
まして二階の寝室に現れたので退治するものが何もない。

まだカーテンも開いてない部屋は暗く、とりあえず隠れたつもりのムカデ君をそうっとそのままに、見つけたゴミ袋に落とし入れて口を縛るつもりが、やはり気持ちがひるんでいたらしい、ゴミ袋に入らずヤツは踊るように床に落ちた。

 

ぎゃっと跳びのく。このあたりでは吐き気を催した気がする。ベッドの下に逃げ込むのが見えた。まだカーテンも開いてない部屋は暗く(さっき言ったってば)、あわてて部屋の電気のスイッチを入れて恐るおそるベッドの下をのぞいた。

ここまで時間にしておそらく2秒かかったろうか、なんとヤツの姿がない、影も形もないのだ。

ムカデは足がはやい。ゴキの比じゃないと言われるが、なるほどこういうことか。
て、感心している場合じゃない。

 

習性どおり、5月から6月は産卵するために餌を求めて出てきたのだろう。

一般には落ち葉の中などに産卵し、秋にはかわいい、じゃなく小さなムカデたちが歩き出すのだそう。なんとほほえましい、じゃなくおぞましい光景が想像できるじゃないか。

部屋のなかをひっくり返し、こわごわ普段掃除をサボっているところまで捜索したが、どこにもいない。ほんとに消えてしまった、としか思えない。

 

とりあえずは、逃げるように自分の部屋から脱出することにした。

さあ、それからというものは寝ても覚めてもムカデ君のことで頭がいっぱいになった。早速ムカデ退治のあれこれを買いあさってくる。

 

まずはベランダなどの外側に、入ってこられないように薬剤を噴霧。

本当は家の周囲に粉末を撒くのが効くそうだが、うちは犬が遊ぶので出来ない。

 

ポイントは速攻性のあるものを選ばないといけない。なぜなら、攻撃されたり捕獲されそうになると狂ったように暴れ、その際に噛まれるからだ。

噛まれるとアナフィラキシーショックを起こしかねない毒をもつらしい。

 

室内にいるかもという場合は餌でおびき出すのが良いとのこと、ゴキブリホイホイのムカデ版があるのでそれを並べた。これについては、逆においしい餌で外から誘ってしまうのではないかいう疑問が消えない。

 

蜘蛛やゴキちゃんを食べる肉食らしく、ウインナーのかけらが好物というのは笑える。

それから水を求める性癖を利用して、ゴミ袋を広げたうえにぬれ雑巾を、空気を含んだ状態で重ねておくとその間に入ってくるらしいのだが、始末するときを想像するだにおぞましい。
いずれもマイルームに該当する内容は思い当たらないのだが・・

以来、四六時中ヤツのことが頭から離れない。

もともと眠りが浅い体質なのにさらに熟睡できていない。
レム睡眠中にはヤツの気配を感じて何度も目をさます。
まるで、いとしい恋人か?と自分で突っ込みたくなるほど意識から消えてくれない。

 

自室のドアを開ける前に無意識に気持ちの準備を整え、一瞬で隅々に至るまで部屋中を観察するのが癖になった。

とりあえずは、とっさに捕まえられるトングといつでも入れられる袋を準備して、毎回チェックした布団に潜り込む。

トングでしっかり挟んだら、50度以上のお湯に浸けると絶命するらしいが、きっとパニックになり暴れまわるだろうヤツを、落とさずにお湯を準備できる自信はない。

えーーっ!これって完全に同居気分じゃないか。

見えない同居者と過ごすこと数日、不気味なほどヤツは気配を隠している。
部屋を空ける昼間は薬剤散布のうえ窓を開けているので、もしかしたらお外へ自分で出てくれたのかも、と楽観視したくなるが、やはり人間から絶対わからない場所で、じっとこっちを伺っているに違いないと思ってしまうのだった。

 

何を調べても、早めに専門業者に頼むことが一番だそう。

寝不足の極致に至りそうなので、そろそろ同居を解消したい。

無料見積もりを頼むことにしよう。