子どもの頃から凛々しい顔だちだった17歳の犬。
同胎犬の中で一匹だけ、障害を抱え股関節がないまま生まれた。
憂いに満ちた濡れた目で見つめてくるが、投げ出された脚はぴくとも動かず、萎えて細い、ほそい、ほそい・・
安楽死も話に出たそうだが、ボランティアさんたちが救い出してくれた。
「こんなきれいな目をしている。もっと生きたいと言っている」そう言って懸命に名医を探し、人工関節の手術を受けることができた。
その直後に縁を結んだ。
医師からは「先天的に、内臓にも障害がある場合が多いので長くは生きられないかも」と言われたのを覚えているが、現在17歳まで元気で居てくれている。
思えばだんだん強くなっていった気がする。何度もダメかもと思わせる場面を経験したが、よく頑張ってくれている。
今のところよく食べ、よく歩き、同居犬をよく威嚇し、とても元気に過ごすことが出来ている。
そういえば8歳の時に同居になるマルプーを迎えてから、少しずつ元気になった気がする。人間と一緒で仲間が居たほうが良いのかもしれない。
とはいえ、食事は最初に口をつけただけですぐ飽きるので、食い意地の張ったもう一匹を傍に置くと奮起する。マルプーに対抗するように、完食することが出来る。
また、散歩も二匹一緒に連れていくことで歩いてくれる。
自分のペースでヨタヨタ歩く。
あまりに遅くて歩行を合わせるのに疲れてしまうが、一緒に歩く多動気味のマルプーが、不思議なことに走り出さず、後ろを見ながらまるで遅れて歩く先輩犬を確認するように速度を合わせて歩くのには感動してしまう。
ただ、時々横を走り去る乱暴な車に急にリードを引く場面では、コロリンと横倒しになる。この頃では道行く人が、ゆっくりとしか歩けない犬を、車を止めて待ってくれるようになりありがたい。
それでも若いころは当時営んでいた高齢者施設でよく働いてくれた。
この子が行くと、認知症のお年寄りの暴言がおさまり、徘徊を忘れ、険しい表情が和らいだ。
机の下でバアちゃんの足のせになっていたことが分かって驚いたことがあったが、それでも怒りもせず、じっとしてたっけ。
とにかく、数年間多くのお年寄りとスタッフを癒してくれたのだった。
ところがある日、体毛が抜け出し体調がおかしくなった。
医師から「ストレスでしょう」といわれ、その日から出勤させるのを辞めた。
この子はずっと我慢してたんだ、と初めて気づいた。
思い返せば、両股関節の手術の経緯もあり中型犬でもありで、痛々しい脚を気にするあまり、ほとんど抱っこをしてやった記憶がない。
親から離されて、手術で何度も痛い思いをして、いちばん抱っこしてほしかったんじゃないのか、といまさら気が付いた。
それからというものは、ベタベタになった。過保護、あまやかし、なんでもあり。
だが、手足の長い中型犬は抱っこしにくい。もう一匹のマルプーを抱くようなわけにいかない。まして抱かれ慣れてないため、体を硬直させるので「胸とお尻抱き」しかできない。赤ちゃん抱きは犬には良くないらしいからちょうど良いのだが。
それ以後、ずいぶん安心した優しい目になった(ような気がする)
されど17歳、何があってもおかしくない年齢。あとどのくらい一緒に居られるのだろうと考えるだけで涙が出る。そして抱っこと同様、いままで女の子らしい恰好を一度もさせたことがないことに気付く。
SNSでかわいいお洋服のペットちゃんを見るにつけ、そうよ女の子だったのよと思うのだった。
(本犬は絶対嫌がる)フリフリのお洋服なぞを着せてやりたい!
そー。飼い主のエゴです。でも散歩の度に男の子と間違えられてきた不名誉を払拭してやりたい(本犬は決してそんなこと考えていないはずですが)
二匹で散歩すると必ず、マルプーの方に「かわいいねー」と人が駆け寄ってくる。
マルプーもまた、エンターティナーが身についていて「わー、大人しいですね」となでてくれる人を愛らしく見つめて尻尾を振って見せる。(この、こズルいやつめ)
一度で良いからこの子にもこんな風に「きゃわいいー!」とギャラリーを取り巻いてやりたい。
だが、悲しいかなこの子のサイズに合うフリフリ服が見つからない。特注しかない。
ここは、一つ自分で作るしかないのか・・
ユーチューブに型紙と作り方があったっけか?!
よし。やったことないけど頑張ってみるかなー。
はじめてに挑戦、手先を使う、いづれも老化防止に役立つかも。
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